令和8年6月19日、東京都北区の小学校において校舎から出火し、複数の児童及び教職員が負傷する火災が発生しました。これを受け、消防庁より、学校に設置されている避難器具(救助袋・緩降機等)の点検・訓練に関する留意事項が示されています。
当工業会では、通知の趣旨を踏まえ、正しい取扱いのポイントをご案内します。
降下訓練を行う際の共通注意事項
救助袋・緩降機のいずれを使用する場合も、降下を行う前に次の点にご注意ください。
- 恐怖心をお持ちの方や、嫌がっている方は降下させないでください。
- 10歳以上の健康な方を対象に実施してください。ご高齢の方や体の柔軟性に欠ける方、特に骨粗しょう症と思われる方は、骨折等の負傷をするおそれがありますので、できれば使用を避けてください。
- 事前に準備体操(手足の屈伸、首の回旋)をして体をほぐしてから臨んでください。
- 強風の日や悪天候の日は使用しないでください。
- 作業着など動きやすく、ヒジ・ヒザなどを覆うことのできる服装を着用してください。軍手など手を保護するもの、ヘルメットなど頭部を保護するものも着用するとより安全です。
- スポーツ用ジャケット、カーディガンなど摩擦抵抗の少ないものを着用しての降下は避けてください。
- より安全性を確保するため、安全マット等を適切に設置してください。
器具を使用した降下を行う場合は、上下に1人以上の監督者を配置し、双方で十分に連絡を取り合い、安全管理体制を確保した上で実施してください。使用前には器具に異常がないかを確認し、少しでも異常が見られる場合は降下を行わず、交換等の対策を行ってください。
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救助袋の使用・点検のポイント
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消防庁通知(消防予第283号)では、避難器具の点検の実施及び取扱方法の習熟、使用に必要な体制の確保が重点事項として示されています。救助袋を展張する際は、上階の入口金具側と地上側の2名以上で行い、連携して張る(展張する)ことが重要です。
使用前の確認ポイント
- 取付金具を固定しているナットの緩み、ボルトの抜けだしがないか、トルクレンチを使用して確認してください。
- 袋本体、展張部材に切り傷、裂け傷、破れ、著しい摩耗等の損傷がないことを確認してください。
- ハイヒールなどかかとのとがった靴や、ゴム底など摩擦の大きい履物での使用は避けてください。
救助袋の使用方法
- 袋本体を締めてあるバンドを手前に引き、解きます。
- 誘導綱の先端に付いている砂袋を地上に投下します。
- 袋本体を先端から徐々に地上に降ろします。
- 袋本体が降下したことを確認します。
- 入口金具を回転させ、一定のところで静止した状態で、両側のワイヤーロープ2本が正常に展張されているかを確認します。
- 入口金具の上端部にバンドの付いているものは、バンドを引きます。
- 入口金具の内部よりアーム(支持枠)を伸長させ、全体が正常に伸長されているか、内側や外側より確認します。
- 袋本体によじれがないか確認します。
斜降式の場合はさらに次の手順を行います。
- 救助袋の階数表示を確認したうえで、固定環のふたの階数表示と照合し、ふたを開けます。
- 先端の滑車に付いているフックを取手よりはずし、袋本体がよじれていないか確認のうえ、左右フックを良く確認して固定環に1個ずつ掛け、ロープの末端を隣側の滑車にかかるロープの下を通して十分に引き、ロープを逆方向に引っ張って固定します。
救助袋を使用した降下
地上からの合図を確認した上で、入口枠の上端を持って足より入り、正面のベルトにぶら下がるようにして、両足をそろえて降下姿勢をとります。降下姿勢は両手を上に上げ、心持ちヒザを曲げます。垂直式は左回りに、斜降式はそのまま腰部と背中で滑り降ります。このとき、どこにもつかまらないようにしてください。
救助袋の降下指導をする場合
- 降下者が入口金具の内部で、正しい降下姿勢を取っているか確認してください。
- 地上要員は垂直式の場合は袋本体の取っ手を、斜降式の場合は受け布を持って準備してください。このとき袋本体をねじらないように注意してください。特に、垂直式の出口は正面とは限りませんので、良く確認してください。
降下中にスピードが速くなった場合や、体位が入れ替わってしまった場合は、次のようにすると安全です。垂直式の場合は、持った取っ手を閉じるようにして、取っ手の上部で降下者を受け止め、受け止めたあとは静かに着地させてください。斜降式の場合は、受け布を上に引っ張るように持ち上げ、停止したら静かに着地させてください。
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緩降機の使用・点検のポイント
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緩降機はベルトを着用し、調速器を介して一定速度で降下する仕組みです。降下中は建物に向き合う体勢を保ち、両手でロープを保持しながら体を真っ直ぐにすることが安全な降下のポイントです。つるべ式のため、使用者が降下すると、もう一方のロープに付いた着用具が自動的に上昇する仕組みとなっています。
使用前の確認ポイント
緩降機全体にサビや腐食がないこと、調速器カバーに凹みや損傷がないこと、封印が切られていないこと、ロープ、着用具にカビ、ほつれ、著しい摩耗がないことを確認してください。
緩降機の使用方法
- 取付金具をセットします。
- 取付金具の吊環に緩降機本器の安全環を取り付け、止め金具を締めます。
- 降下地点付近に人がいないことを確認してロープの巻いてあるリールを投げ落とします。
- 展張したロープに緊結されている着用具の先端が地盤面から±50㎝の位置にあることを確認します。
- 2本のロープを別々に持ち、左右に走行させ異常無く作動することを確認します。
緩降機を使用した降下
- ロープが正常に伸びていることを確認します。
- 着用具を頭からかぶり胴体の脇の下の正しい位置に装着します。
- 装着すると自動的にリングが引き寄せられるので、身体が保持され、正しく装着されていることを確認します。
- 緩降機本器から出ているロープを2本ともしっかり握って、外に出ます。
- 身体の正面を建物の壁面に向けて、両手を離します。
- 1人目が降下終了すると、ロープの反対側に付いた着用具がリールを付けたまま上がってくるので、2人目の人はリールを外してから着用具を装着します。
降下姿勢は手を正面に軽く伸ばした状態です。このとき、どこにもつかまらないようにしてください。また、両手を上に上げることはやめてください。
緩降機の降下指導をする場合
- 降下者が正しい位置に、正しく着用具を装着しているか、必ず確認してください。
- 降下者が外部に出て、正しい降下姿勢がとれるまで、本器のロープを2本とも握っていてください。
- 降下者が正しい降下姿勢がとれたら、降下者に合図をして両手を離してください。
避難器具は使い方を知っていただくのが重要です。訓練実施の際は機器の設定までとして、救助袋又は緩降機等の避難器具を使用して降下する場合には、
必ず消防設備業者(点検業者)の
立ち会い・指導の下で実施してください。
(消防設備士5類または第2種点検資格者の資格を有する者による実施を推奨します。)
避難器具の点検・訓練に関するご相談は、当工業会会員または最寄りの消防設備業者へお問い合わせください。
一般社団法人 全国避難設備工業会 03-6264-1065